椎名林檎、初期はそれなりに好きでした。
やっぱり彼女のデビューアルバム
『無罪モラトリアム』
は衝撃的でしたね。
万人受けしたけど、わかる人にはわかる部分が
ツボすぎてハマったロック親父も多かったのではないだろうか。
若い女の子の恋愛観を中心に据えた歌詞に
「マーシャルの匂いで飛んじゃって」や
「グレッチでぶって」
なんて、ある一定層しか反応しないフレーズを織り込むセンス。
サウンドのほうは恐らく最後のロックブーム期に
ロックバンドのサウンドで J-POP アレンジで 挑んだ。
そんな期待の星だった椎名林檎は
今では大変ご立派な「椎名林檎大先生」になり、
初期の純粋な激情をぶつけた音楽ではなく、
職業作家と、職業パフォーマーとしての誇りを
前面に出していて物凄くつまらなくなった。
まったくもって鼻持ちならなくなった
ともいえるかな。
そんな椎名大先生のアルバムでも、
1st アルバムは今でもたまに聴く。
お気に入りはほとんどだけど、
そのうちの一つは「幸福論(悦楽編)」
特にグッとくるところは
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そしてあたしは君の強さも隠しがちな弱さも汲んで
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あたしは君のメロディーやその哲学や言葉、全てを
守る為なら少し位する苦労もいとわないのです。
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時の流れと空の色に何も望みはしない様に
素顔で泣いて笑う君のそのままを愛している故に
あたしは君のメロディーやその哲学や言葉、全てを守り通します。
君が其処に生きているという真実だけで 幸福なのです。
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の部分。
(歌詞のほとんどかい!)
考えてみれば女の子なんて多分みんな最初はそうなんだ。
だけど人は成長もすれば大人にもなる。
しかも女性のほうがより現実的な考え方を
具体的にするようになる。
この歌詞のような世界観は主に10代~20代初期の
大学生くらいの女子にハマる世界観であって、
大人、30歳前後になってくる女性の多くは
この真逆のことを考え始めるだろう。
女性はより現実的だからね。
夢と現実に線を引き
後者にプライオリティが置かれたとき、
その世界観は崩壊する。
そもそもその女性の最初の目的(=夢)と
大人になってからの視点(=現実)は
大きく異なる。
男性は一般的によくいわれるように
「男なんてガキだよ」
っていうのが当たっていると思う。
特にこの世界観に出てくるような
バンドマンや芸術家志望の方々は。
さて、私はこの世界観が未だに好きだ。
つまり、世のほとんどの女性とかけ離れていることになる。
「君の強さも隠しがちな弱さも汲んで」
「君のメロディーやその哲学や言葉、全てを守り通します。」
と宣言した女性が
「君が其処に生きているという真実だけで 幸福なのです。」
というのは残念ながら、男の空想なのだ。
夢見がちな女の子の浮かれではなく。
そうやって男を弄び高笑いするのが
「歌舞伎町の女王」なのです。
お後がよろしいようで。